Beethoven on my hands vol4 「若葉のころ 旅立つ人」

若葉のころ 旅立つ人


★ 2013年11月発売 1200円 (送料別)★

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■ CD紹介

piano : Yoriko Hattori
photo : Tatsuya Okimoto
design : Yasuyo Tanioka
recording : studio felmarta
planning : Ken'ichi Nishio
releace : 2013/11/1
price : \1200
Copyright(c) 2013/10/30 Yoriko

■ 楽曲解説

 ベートーベンが創った楽曲は、前期/中期/後期に分けて評論されている例が多いようです。このCDではベートーベンが10/20代である前期に創った作品を収録しています。
ベートーベンが生まれ育った家はとても貧しく、父親はアルコール依存症と思われ母親は病弱であったために少年ベートーベンにとっては家族の愛や豊かさに乏しい幼少期を過ごさざるをえなかったようです。その後彼が成人してからの女性に対する思いや恋愛観などにも母親の愛に重なるものを強く求めていたと思われるエピソードが多く語られています。
 ベートーベンが創りだす音・とくに中期以降ではその音調に特有な悲哀や戸惑い、怒りや心の欠落感などを感じることができます。美しい曲にも明るい曲にも、その奥に横たわる深い悲しみを感じるものもあり、それがベートーベンの音楽に独特な暗さやねばっこさをもたらしていて聞き手に好き嫌いがはっきり分かれるのもその特徴のひとつといえるでしょう。
 10代のころベートーベンはボン宮廷の古文書官をしていたブロイニング家の娘エレオノーレのピアノ教師のためブロイニング家に頻繁に出入りするようになります。その母親エレーネはベートーベンをわが子のように愛し、三姉妹とともに食事をし散歩をし、さまざまな教育もそこで受けたようで、彼の心の欠落したもののいくらかはここでの愛に溢れた生活によって補われたと思われます。しかし自分の家に帰れば逃れようのない現実がそこにあり、この時期の少年ベートーベンの心の矛盾はより大きなものになっていたのかもしれません。
 ここに収録した前期のピアノ作品は師ハイドンやモーツァルトの影響を強く受けていると思われる旋律が多くあり、バレエをイメージさせるような美しく華麗な曲調が特徴的です。これらはブロイニング家で過ごした愛に溢れた暮らしから生まれた音なのかもしれませんが、その美しい音の中にもベートーベン独特な不安定さや戸惑いの一端をうかがうことができます。少年から青年へと成長する時期に、これから自分が歩くべき道を手さぐりしているような純粋だけどどこか不安定な少年ベートーベンの隠しようもない心が現れています。
 はっとりよりこ氏のピアノの音表現も、このようなベートーベンの心の模様に共鳴したものになっていて、その心の微細なふるえが伝わってきます。

■(株) 音楽のおと   録音技術    西尾憲一

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